アイのカタチ
何も進展がないまま気づけば土曜日。
合コンが明日に迫ったと言うどうしようもない気持ち。
「嫌だ…嫌過ぎる」
だから必死で自分なりに考えてしまった。
行く事には変わりない。
だから、それをどうしようのかと。
もう一切化粧なんてしなくてどうでもいい恰好か、それとも念入りにバッチリ化粧をしてそれこそ嫌な女を演じていようかなんて事を考えてしまった。
なんなら高熱でも出ればいいんじゃないかって思った。
動けないくらい熱が出て倒れたら当たり前に行かなくてすむ。
じゃなくても、もう仮病をつかっちゃえ。なんて思った。
馬鹿みたいに一日中そんな事ばかりを考えていて、結局夜を迎えてしまった。
そして決めた事は、
“熱が出た”
そう言おうって思って、携帯を握りしめた時だった。
「美鈴?千佳ちゃん来てる」
ドア越しから聞こえるお母さんの思わぬ声で、持っていた携帯を落としそうになった。
え?何で?
来ちゃったら熱が出てるなんて言えないじゃん。
「早く行きなさいよ。千佳ちゃん待ってるよ」
そう言った急かすお母さんの声で、あたしは躊躇いながら部屋を出た。