アイのカタチ

「仲間を殴った?…なんでだろう」


分んない。

あの時、アイツに気持ち悪いくらい触られてそれでアイツを殴ったのなら分る気がする。


でも、なんで仲間?


「美鈴さぁ、何か狙われてたっぽいんだよね。それを黒沢が阻止したって言うのかな」

「……」



“なんも変わった事なかった?”


思い浮かんだ言葉にハッとした。



“男が寄りついてねぇかなーって”


確か、そう言ってた。

だからあたしに聞いたの?


じゃなきゃ、そんな事聞かないでしょ?


「黒沢さ、1週間くらい学校に来てなかったんでしょ?」

「え、そうなの?」

「少し前だよ。それが原因で停学だったらしいじゃん」

「…てい…がく?」

「怪我してたんでしょ?手…」


手を怪我?

またまたハッと思い出してしまった。


久し振りに会った時、左手を包帯でグルグル巻いていた。


“ちょっと、しくじった”


そう言ってた颯。

その少し前から屋上でも全く見ない事があった。


あれって、停学中だったの?


何も知らない。

何が起きてたのかなんて何も知らない。


…颯、何で?

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