アイのカタチ
「颯は…あたしを庇ったの?」
「そうじゃなきゃ停学になるまでそんな事しないでしょ?」
「そんなっ…」
「で、そんな事になった挙句、美鈴の事言いふらしてる奴らがいてさ、また張り合ってたらしいじゃん」
「……」
「ちょっと前の黒沢見た?」
「……」
「メガネ掛けてたでしょ?目、負傷だって。馬鹿だよね、黒沢。そこまでして美鈴を守りたいのかって話し」
「……」
「女はさ、メガネ姿の黒沢にメロメロだし、みんな馬鹿すぎ。ちなみにアンタ、美鈴もね」
「…あ、あたし?」
「そう。馬鹿だよ、馬鹿すぎ!」
「……」
着た頃とは真逆のように態度が変わってしまった千佳。
フッと小さく息を吐き捨てると、千佳は力強い目であたしを見た。
「黒沢は悪い奴だって分ってる。ぜんっぜん、いい話しなんて聞こえないし悪の塊だと思ってる」
「……」
「でも、案外いい所あんじゃんって思った…りもした」
「……」
「美鈴の事、助けたから。美鈴の事、守ってくれたから!」
「……」
「スキなんでしょ?黒沢の事」
「……」
「周りなんて関係ないよ。言いたい奴には言わせとけばいいじゃん」
「……」
「行きなよ、黒沢ん所」
「……」
「好きなら好きって言ってきなよ!」
「…千佳」
「でも、あたしは嫌いだけどね」
フッと笑った千佳に、あたしは苦笑いをした。
千佳は多分、あたしの事を気にしてた。
そうじゃなきゃ、そんな事、言わないよね?