アイのカタチ


1日中、家でくつろいでた所為か、していたメイクも完全に落ちかけていた。

時刻は23時。


もうこんな時間だし…って思っていても何故か化粧をしている手が進む。

念入りに、念入りに馬鹿みたいにバッチリして、初めて颯に会った時みたいに、気合いを入れてみた。


“明日の合コンいいからさ”


帰り際に言われた千佳の言葉。

だから、それを言うのもあって、今日来たんだと思った。


千佳は弾け過ぎてすぐに口を滑らせちゃって、時たまどうしようもないけど、あたしから見ると友達思いのいい存在。


…千佳、ありがとう。





後、何本かで終電だって言う電車に乗って、あたしは颯の家まで向かった。

でも、こんな時間に家はちょっと…。


そんな風に思ったあたしは誰も居ない公園の前で足を止めた。


何故か携帯を持つ手が震える。

こんなにこんなに今まで震えた事なんてないのに、何故か震えてしまう。



その、震えてる手に力を込めたあたしは、



颯にコールした。


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