限りなく黒に近いグレー
高校での新しい生活に期待していた私の心は、見事に砕かれた


思い出したくないいじめを、菅野は楽しくクラスの男子に教えている


深く傷付いたのは、忘れたいと思っていた火事の話



中学の時、妹のいたずらで倉庫が全焼した


家は農家で、乾燥した牧草のロールが何十もあった


なかなか火は消えず、隣の牛舎に燃え移った

父は必死で、牛舎の火を消した


借り物の機械は弁償


家族の誰一人怪我は無かったが、多大な損失となった


家の辺りはしばらく、焼けた臭いが漂っていた


もしかすると、家まで燃えていたかもしれない


私は菅野の思考にぞっとした
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