限りなく黒に近いグレー
不思議な感覚が私を包む


心が段々落ち着いて、視界がクリアになった

こんな時にえらく冷静だなぁ、と考える余裕すらあった


見下ろされているのに

殺るならやれや…

出来もしないくせに…

私は吐き捨てる様に、それでも冷静に言った

出来る訳ないだろ…


急に力を無くし、斉藤は私の上から降りた


チッ…


私は殺ってくれた方が良かった


楽になる道を選びたかった



私の職場までお金を借りに来たこともあった

殴られて、あちこちアザが出来ていた


母にこれ以上迷惑は掛けられない


父も心配している


逃れようと、毎日もがいた


出てって…

働けよ…


仕事を見つけても、斉藤はすぐに辞めてしまう
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