限りなく黒に近いグレー
何分たったのか、やっと斉藤は力を緩めた


クラクラする頭で、何とか逃げれないかを考えた


車の中で揉み合いになり、斉藤の眉毛に私の拳が命中


そして太ももに思い切り噛み付いた


その倍私は殴られたが、ドアを開ける事に成功


私は靴も履かず外に飛び出して、人通りの多いビルに走った


助けて…!

誰か助けて…!


幸い同じ店で働くボーイに会った


助かった…


そう思ったとたん、その場に座り込んでしまった


我に返ると、辺りには人だかりが出来ていた

私の酷い格好を見て、集まって来たらしい


冬なのにコートは羽織らず、パンストは破けて血が滲んでいる


顔にはあざ、冷たい地面に座り込んでいる
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