甘★猫☆
【奏太side】
4月の夜は肌寒い。
公園の街灯の下で、僕は止まった。
『...ごめん。』
『どうしたのっ!?』
実を言うと、なんで自分がこんな行動にでたのか...わからない。
街灯に照らされたベンチに腰かけてうずくまる。
『奏太君...??』
『...あ、あ、...』
『...あ?』
『...綾菜...。』
『...///!?』
『人のさ、名前を...呼び捨てで呼んでみたかった。』
僕は、情けなくふにゃっと笑った。
『奏太君...。』
『僕、人と話すの苦手でさ。よくわかんないけど。』
『...。』
『...母さんに、嫌われてたんだ。僕も、父さんも。昔は仲良かったみたいだけど。
...離婚、したんだ。』
『...!!』
『僕が、小5のとき。なんかさ、今までの自分が思い出せなくなってた。家族3人で暮らしてたときのこと。...記憶をなくしたみたいに。
外で走り回って、友達と遊んだり...。今までどんなふうに人と話してたのかすっかりわすれて、
それから、ずっと人と話せなくなっていった。』
『...。』