ブラックコーヒー
そのとき、斗真さんが動きを止めた。



「早織…?」



私はその名前を…知ってる。



「斗真…? わぁ、久しぶりね!」



あ、前、斗真さんとバスに乗ってきた人だ…。

ロングのふわりとした髪のその人は、とても美人だけど可愛くもある人だった。


ただ、1番目を引いたのはその人のお腹だ。



「1人で何してるんだ…?」

「検診の帰りなの。」



そう言いながら愛おしそうにお腹を撫でる彼女の左手薬指には、眩しく輝く指輪。


何…?

その子は誰の子で…あなたは誰の妻なの?
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