ブラックコーヒー
「…あれ、噂の元カノ。」

「うん…。」



言われなくても、分かってる。

早織さん。
斗真さんの心にいる人。



「…出ましょうか。」

「そうだね。」



私たちは斗真さんの車に戻った。

気まずい雰囲気。
何がそうさせているのか…。



「早織と知り合ったのは、面接のときだった。」



突然始まった話に、相槌を打つことも忘れて聞き入った。

嫌ではなかった。


私が知らない斗真さんを知れることが、嬉しかったから。



「…今から2年前になるな…。」
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