ブラックコーヒー
斗真さんはそっと私の背に手を回した。



「斗真さんが呼ぶなら、必要とするならどこへでも行く。」

「美由里ちゃん…。」



たとえそれがお金で繋がるだけの関係だとしても。




「…好きです、斗真さん…。」




私が癒してあげられたらいいのに。

恋に傷付いた彼の心を救いたい。
切実にそう思った。



「…ありがとう、美由里ちゃん。」



斗真さんは体を離すと、どこか切なげに微笑んだ。

少しの沈黙の後、斗真さんは静かに言った。



「…もう、終わりにしよう。こんな関係。」
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