ブラックコーヒー
始まりはそうだった。スーツ。

私がスーツが好きで…スーツ姿の人を目で追いかけてたんだ。


そのうちの1人が、斗真さんだった。


イケメンスーツなんて変なあだ名をつけていたことが懐かしく思える。

ずっと、憧れてたから。



「さっき来たとこ。」



そう言う斗真さんのコーヒーは冷めきっていた。



「…嘘つき。」



関係を持つようになって、斗真さんが優しい人だと知った。

理想通りで…優しい人でよかったと思った。


斗真さんでよかったと思った。



「で、話って何? 美由里ちゃん。」
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