ブラックコーヒー
なんで俺はここにいるんだっけ。
っつかどうやって来たんだっけ。



「…52万。」

「すげぇ額だよなぁ、斗真。」

「…手、つけてないんだ。」

「え?」

「家計簿つけてたから分かるんだけど。」



1円だって手をつけていない。



「えー? 美由里ちゃんの目的ってお金じゃないの?」

「…違ったみたい。」



詳しいことは一樹には話してない。
というか言えない。



「っつか、そんな風になるんだったら美由里ちゃんのこと切るなよ。」



と面倒臭そうに言う一樹。



「…仕方なかったんだよ。」
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