ブラックコーヒー
後悔しないように離れた。
これでよかったんだ。

よかったはずなのに…なんでだろう。


離れたら、よりあの子が頭の中を占領する。



『斗真さん。』



いつもそう俺を呼んだ、あの子が…。


気付いていただろうか。


行為の最中、何度か『早織』と口を滑らせてしまったことに。

最初のうちは完全に早織とあの子を重ねて見ていたことに。



『…好きです、斗真さん…。』



何度泣かせたんだろう。

こんな俺が…あの子と…?
こんな生半可な気持ちで…?


傷つけるだけなんて…目に見えているのに…。


どうしてだろう。
体が…いや、心が、あの子を求めてる。
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