ブラックコーヒー
斗真さんの頭と肩に積もった雪を払い、冷え切って赤くなった斗真さんの手を包み込む。

もはや、考えなしで。



「あ、でも私冷え性なんで意味ないですね。」



なんて苦笑いする。

カイロの1つも持ってないなんて…ダメじゃん私!



「せめてカイロとかあれば…」



その言葉の続きは出てこなかった。

なぜって……斗真さんの腕の中に、閉じ込められてしまったから。



「と…まさ…?」



あまりのことに驚きすぎて、私は言葉が出なかった。



「美由里ちゃん…っ。」

「え、ちょ…?」
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