ブラックコーヒー
私はそっと斗真を振り返った。



「ん? どうかした?」



夢見てた。
こんな穏やかな時間を。

憧れてた。
この人に、ずっと。



「…うん…。」



…甘えても、いいかな。
抱きついても、いいかな。

そんなことを考えながらそっと俯いた。



「美由里?」

「うん。」

「…みーちゃん。」

「…ん。」

「みー。」

「っ…。」



名前を呼ばれる度、顔が熱を帯びていくのが分かった。

顔を隠すために斗真の肩に頭を乗せると思いの外心地よくて…私はそのまま目を閉じてしまった。

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