ブラックコーヒー
元々、それだけが私たちの意味だったから。

結局は体を求められるんだと思っていたから…そう訊いた。



「うん、抱かない。」

「へ…?」

「だから、抱かないってば。」



意外なその言葉に動揺を隠せなかった。
だって、予想外すぎる。

そんな私を抱き締めながら斗真は言った。



「俺は“美由里”っていう存在が欲しいの。体が目当てじゃないから。」

「斗真…。」

「それとも抱いて欲しいの?」

「違う!」



勢いよく答えた私に微笑むと、斗真は呟いた。



「でもまぁ、キスくらいはしとこっか。」
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