ブラックコーヒー
そう言われてみれば…そう、だよね。



「美由里ちゃん。」



人だかりを抜け出してきた内村くんは、私に声を掛けた。

さりげなく皆から離れると、小さく笑って言った。



「あの人と、上手くいったんだよね?」

「んー、うん、たぶん。」

「何それ!」



だって、たぶんなんだもん。

付き合うことにはなったけど、『好き』って言われたわけではない。



「でも、幸せなんだろ?」

「……うん!」



なんだか申し訳なくて笑顔を向けることはできなかったけど、幸せ。

それは間違いじゃないから。
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