ブラックコーヒー
杏の意図が分からない私は首を傾げる。
内村くんはただ黙っていた。



「…それは、どういう意味?」



急に真剣な表情になった斗真はそう杏に訊いた。



「…分かってるでしょ?」

「……。」

「中途半端なことすんなって言ってんのよ!」



腕を組んでそう強く言い放った杏に、斗真は顔をしかめた。

そこまで言われて、私はやっと杏の言いたいことが分かった。



「……。」

「弄んでんだったら出るとこ出てもらうから。」



それを聞いた斗真は、真剣だけど優しい表情で言った。



「…ごめん。でも、もう少し時間をくれないかな。」
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