ブラックコーヒー
「シャンプーもボディソープも斗真と同じ匂い。」

「お風呂入ったので…。」

「服も斗真のだし。」

「借りたので…。」



と言うと、一樹さんはさらにキツく私を抱き締めた。



「俺の匂い移しちゃおー。」



一樹さんの甘い匂いが私の鼻を掠める。

あ、いい匂い…。



「…斗真の匂いの方が好きです。」



斗真の匂いは優しくて、だけどどこか男らしい匂い。



「ちぇー! 斗真に全敗かよ。」

「残念だったな、一樹。」



そう言って笑いながら、斗真はビールを開けた。



「…一樹さん。」
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