ブラックコーヒー
そこまで言って一樹は口を手で覆った。



「一樹…まさか…。」

「っ…!」



一樹はコートと鞄を掴むと、そのまま出て行ってしまった。



「…嘘だろ…?」



俺は困惑していた。


だって…一樹が…美由里を…?

いつから…?
俺より前から…?


まさかそうだとしたら…、俺はなんてことをしているんだろう。

一樹のことを考えると苦しくてたまらなくて、やりきれなかった。



「…美由里。」



ベッドに横になる美由里に寄り添い、寝顔を眺める。


…好きだ。
手放したくない。
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