ブラックコーヒー
でも…それで、美由里は本当に…幸せなのか…?



――『俺絶対ぇお前には負けねぇ!』

――『そんなんじゃ諦める意味が…。』


目を閉じるとうっちーの顔が浮かんで、一樹の顔が浮かんで、

最後には美由里の笑顔が浮かんだ。



…手放したくない。
この子の側にいたい。

側にいてほしい。



「好きだよ。」



そう呟き髪を撫でる。



「好きだ。」



その頬にキスを落とす。

…こうしてなら言えるのに。
どうして、言えないんだろう。


『好き』と、たった2文字。
簡単な言葉。

だけど、それは重い言葉だった。
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