ブラックコーヒー
「…よく言われます。」



本当はお金なんていらない。

本当に欲しいのは…誰かの温もり。

誰かに抱き締めて欲しい。
……愛されたい。



「…いいよ。」

「!」

「…おいしい話だからね。」



そう言って、斗真さんは微笑んだ。

まさか…斗真さんが了承するとは思ってもみなかった。



「…美由里ちゃん、だっけ。」

「は、い。」

「…また今度、連絡するね。」

「はい…。」



世の中って、案外簡単にできているのかもしれない。



「だめっしょ斗真ーぁ。」



不意にそんな声が聞こえて、声の主は斗真さんの首に腕を回した。
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