ブラックコーヒー
「…ねぇ、美由里ちゃん。」



キッチンに立ちマグカップを洗う一樹さんが、私に背を向けて言う。



「はい?」



帰りのバスの時間をケータイで調べていた私はその手を止めて一樹さんを見た。



「今の美由里ちゃんにとってさ、斗真と付き合うメリットってある?」

「え…?」



メリット…?

洗い物を終えた一樹さんは私の目の前に立った。



「一樹…さん?」

「メリットのない付き合いなんて止めればいい。」

「あの…?」



なんか…怖い…。

一樹さんはおもむろに私の手首を掴むと、そのまま引っ張り私を立たせた。
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