ブラックコーヒー
「斗真と付き合ってたって、このままじゃ美由里ちゃんは幸せになれない。」

「ひゃっ…!?」



掴まれた手首を引っ張られて、私は一樹さんの胸にダイブした。

そんな私をしっかりと抱き締める一樹さん。



「…俺なら君にとってメリットになる付き合いができる。俺なら君を幸せにしてあげられる。」

「一樹さん…? どうしたんですか…?」

「…斗真なんか止めなよ。」



その言葉を聞いて、私は息を飲んだ。

一樹さんを見上げると、苦しそうに、切なそうに、ただ顔を歪めていた。


おもむろにケータイを取り出した一樹さんは、誰かに電話をかけ始めた。
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