ブラックコーヒー
「最初はなんとも思ってなかった。でも、いつの間にか好きになってた。」

「一樹さん…。」

「…君が斗真と付き合うことになったから身を引こうと思ったんだ。」



なんか、内村くんにもそんなこと言われた気がする…。

と、私は記憶の糸を手繰り寄せた。



「なのに…。」



ふと、一樹さんの表情が歪んだ。



「今の斗真と付き合ってなんのメリットがある? 幸せか?」

「メリットって…!」

「愛してももらえないんじゃ辛いだけでしょ?」

「っ…。」



否定できないだけに、返す言葉がない。
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