ブラックコーヒー
「でもっ、私はメリットがあるから斗真と付き合ってるんじゃ…」



そこから先は言えなかった。

言おうとしていた続きの言葉は、一樹さんの唇によって吸い込まれてしまった。



「っ…!」



逃れようにも後頭部と腰を固定されてしまって、動くことができない。

ただ、血が滲むほど手の平に爪を立てた。



「っ、…。」



やっと解放された私は、酸素を求めて大きく息をした。



「っ…、最低…!」



そう言って睨み付けた。
涙が零れてしまいそうになる。



「なんとでも言えばいい。」
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