ブラックコーヒー
音はドアを開けた音らしかった。



「ってかよくここまで来れたね? オートロックとか解除してきたんでしょ?」

「解除番号、鍵の隠し場所…、俺が知らないとでも思ったか…。」



と息を切らしながら言う。



「美由里っ、大丈夫!?」



急に私を呼ぶもんだから、私は急いで起き上がって頷いた。

安心したように私に微笑むと、一樹さんに向き直った。



「…美由里は返してもらう。」



息が随分と整い、額に汗が浮き始めた。

…走ってきてくれたんだ。
それだけでもう、私は十分。



「…連れて帰れば?」
< 244 / 382 >

この作品をシェア

pagetop