ブラックコーヒー
「……。」

「……。」



気まずい沈黙だけが続く。

…どうしよう。
このままじゃ…何も進まない…!



「見、ちゃったの…。」



私は俯いて言った。
だから斗真の表情は分からなかった。



「渡部さん…? といるとこ…。」

「…やっぱり見たんだ。」

「…うん。」



私はそっと目を閉じた。



「…振るなら振って?」



やけに落ち着いた声が出たと思った。

でも、覚悟ができたわけじゃない。
だって…体が震えてる。
怖くて怖くてたまらないんだ。



「…ぷっ。」



…ぷっ?
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