ブラックコーヒー
「…好きなのはね、美由里だけだよ。」




私はその言葉に自分の耳を疑った。



「今…なんて…?」



嘘だ。嘘だ。

そう思う反面涙が浮かんできていた。



「ずっと言えなくてごめん。…トラウマだったんだ、早織が。」



と顔を歪めた。

…斗真も斗真で苦しかったんだ。
戦ってたんだ。



「離れていかれたらどうしようってそればかりで、恋をするのもすごく怖かった。」

「…うん。」

「でも、うっちーとか一樹には渡したくないから。」

「っ…。」



頬が熱を帯びていく。
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