ブラックコーヒー
そういえば…、杏は斗真の曖昧な態度が気に食わなかったんだっけ…。



「…ちゃんと聞いたよ、斗真から。」

「『好き』って?」

「うん。」



頬がほんのりと熱を持った。



「はいはいごちそうさま。」



と呆れたように笑った杏。



「あ、杏が言わせたんでしょ!?」

「そうですねー。」

「んもう!」



そのとき、じゃれあう私たちの目の前を1人のOLが横切った。



「あ…。」



思わず漏れた声に、杏が反応した。



「何? 知り合い?」

「いや、その…。」



渡部…。
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