ブラックコーヒー
杏は納得いかなそうに鼻を鳴らしたけれど、今回ばかりは仕方ない。

仲が良いからこそ、近くにいるからこそ、言いたくないことってあると思う。



「まぁ、キツくなったらいつでも言いなさいね? アンタはすぐに溜め込むから。」

「杏…。」

「分かった?」

「うんっ…、ありがとー!」



バスの中だというのに、思わず抱きついてしまいそうになった。

だから杏に少し嫌な顔をされてしまった。



「斗真さん関係のこと?」

「それも少しあるけど、ちょっと違う。」

「そ。なら放っとくわ。斗真さん関係だったら今度こそ殴ってたけどね。」



……怖。
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