ブラックコーヒー
忙しいはずなのに。



「会いたいよ…斗真…、帰ってきてよ…。」



思わずそう呟くと、あとからあとから涙が溢れて止まらない。

最近、情緒不安定なのかもしれない。


話したい。
聞いてほしい。


斗真に甘えたい。
ギュッと抱き締めてほしい。

斗真…。



「斗真…。」




いつからだろう、
望み通りにいかなくなったのは。


小学生になってから?

それとも、私が大人になったからなのかな。



信じて疑わなかった。
帰ってくるって。


その日、斗真は帰ってこなかった。
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