ブラックコーヒー
「くす…へ?」



首を傾げる私に、一樹さんは少し照れながら言った。



「前に二日酔いしてた俺と斗真に飴くれたでしょ、薬だよって。」

「あぁ…!」



懐かしいなー…!

私はそのキャラメルを受け取ると、手の中で転がした。



「…変なの。」

「ん?」

「あのときは遊びで…本気じゃなかったのに。」

「美由里ちゃん…?」



斗真のことでこんなに苦しむようになるなんて。

今回は斗真だけが原因じゃないけど。



「ありがとう、一樹さん。」



そう微笑むと、一樹さんはまた心配そうに眉を下げた。
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