ブラックコーヒー
「それ、今食べて?」

「へ?」

「じゃなきゃ美由里ちゃんが倒れる前に俺が心配で倒れる。」

「ぷっ。」



真顔でそんなことを言うもんだから、それがあまりにも可愛くてついつい笑ってしまった。



「じゃ、いただきます。」



キャラメルを口に放り込むと広がる甘さ。
久しぶりの甘味に涙が出そうになる。



「美由里ちゃん。」

「ん?」

「何かさ、誤解してない?」

「誤解…?」



思い当たる節がなくて首を傾げると、一樹さんは真剣な面持ちで言った。



「…なんで斗真からの電話に出ないの。」
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