ブラックコーヒー
「……。」



口の中のキャラメルが甘ったるい。
なのに、目の前の現実は苦々しい。



「斗真が帰らなかったあの日。」



思わず体が反応してしまった。



「あの日、斗真は俺の家に泊まったんだよ。」

「……うん。」

「残業が長引いて、俺の家の方が近いからって…。」

「…渡部。」

「え?」

「斗真は仕事の効率がいいから。だから今まで残業なんてなかったのに。」



最近斗真は残業が増えたし、すごく疲れてた。
全部全部渡部のせい。



「どうせまたミスしたんでしょ?」
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