ブラックコーヒー
女物の香水を香らせることが多くなった。
……渡部の匂い。

くっつかれてるんだろうな…。



「…どうして渡部なの?」

「美由里ちゃん…。」

「どうして私の邪魔するのっ…。」



話したいことも話せないなんて、そんなのってあんまりだ。

仕事だから仕方ないと思ってる。
頭では分かっているのに納得できない。


私を優先してよ。私をかまってよ。



「美由里ちゃん!」



我に返ると、涙が頬を伝っていた。

…何ヒステリックになってるの。
どうしちゃったの、私…。



「…落ち着いて?」
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