ブラックコーヒー
「うん…。」



涙を拭くと、私はボーッとテーブルの上を眺めた。



「…斗真、心配してたよ。」

「うん…。」

「…電話、出てやってくんないかな。」

「……ごめん、なさい。」



電話には出たくない。

途中でキャッチが入ったらって、別れ話かもって、思っちゃってなかなか通話ボタンを押せない。



「…じゃあ、言ってもいい?」

「何を?」



ふと一樹さんを見れば、その表情はあまりの固さに怒っているようにも見える。



「今日美由里ちゃんと会ったこと。斗真、かなり心配してるから。」

「…よろしく、お願いします。」
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