ブラックコーヒー
いつもより早めに会社を出て、美由里の高校に向かう。

今日は美由里に会うことを期待してバスで会社に行ったから帰りも自然とバスなわけで。


バス停から高校の正門までの距離がやけに遠く感じた。



何度目だろう、こうして美由里を待つのは。

あの日ここを白銀に染めていた雪は跡形もなく、今は新緑の緑がひたすらに眩しい。



「…斗真さん?」



急に呼ばれて振り返れば、そこには杏ちゃんがいた。



「杏ちゃん…、久しぶり。」

「美由里なら来ませんよ。」

「え…?」



来ない…?
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