ブラックコーヒー
「…美由里、元気?」

「…このままじゃいつ倒れてもおかしくない。」

「……。」



そんなに厳しい状態なのか…。



「…美由里の家は家庭環境が複雑なんです。」

「複雑…?」



コクリと頷くと、杏ちゃんは運ばれてきたコーヒーを一口飲んで言った。



「…単純と言えば単純なんですけど、家庭崩壊気味で。」

「家庭崩壊…?」



極々普通の幸せな家庭に育った俺には縁が無さすぎる言葉だった。



「…気は狂うかもしれない。」

「そんなに…?」

「…斗真さんと出会う前は本当に見ていられないほどだった。でも、斗真さんと出会ってから落ち着いてたの…。」
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