ブラックコーヒー
ギュッと顔をしかめる杏ちゃん。



「…お願い、斗真さん。美由里を助けられるのは斗真さんだけなの。」



いつも大人で冷静な杏ちゃんがこんなに取り乱すのを見るのは初めてだった。



「…悔しいけど、俺らじゃどうにもできないから。」



不意に聞こえた声に目を向ければ、そこには部活終わりらしいうっちーがいた。



「うっちー…?」

「…みーちゃんと俺、杏の家は近所なんだ。田舎だからさ、町内の噂ってよく耳に入ってくるんだ。」

「…噂ではかなり状況は悪いの。」

「みーちゃんならそろそろ帰るはずだから。」
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