ブラックコーヒー
怒鳴り声や食べる音を耳にするだけで吐き気がして。

イライラもやもやした。



極めつけがこれ。



『穂波(ホナミ)。』



明らかにその対象は私で。
でもその名前は私じゃなくて。

それは叔母さんの名前だった。


父の妹、
祖父の娘。



自分を否定された気分だった。



『美由里。』



そう私を呼んでくれた祖父は
優しかったかつての祖父は
もうどこにもいないんだと悟った。


悲しくて苦しくて。
辛くて嫌で。



怒鳴り声も
汚い食べ方も音も
私じゃない名前も

祖父も


大嫌い。
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