ブラックコーヒー
そう思ったのは私だけじゃなくて、妹も母も同じだった。



「そうやって自暴自棄になってたときに斗真に定期を拾ってもらって…、援交なんてしようと思ったの。」

「そっか…。」



斗真はゆるゆると私の頭を撫でながら言った。




「よく、頑張ったね。」




その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れだした。

同情されたくなくてずっと言えなかった。
ずっと、この言葉が欲しかったんだ。



「じゃあ、俺がいっぱい甘やかしてあげなきゃね。」

「斗真…。」

「家庭の問題は解決してあげられないけど、美由里の痛みを和らげてあげるくらいはできると思うから。」
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