ブラックコーヒー
どこへ連れていかれるのかも分からない。

でも、もう引き返せない。
それだけは分かっていた…。


ふと斗真さんの横顔を見た。


“爽やか”
その言葉がピッタリな斗真さん。

そんな人と…これからそういう関係になるのかと思うと、なんだか不思議だった。



「ん? どうかした?」

「えっ…。」



どうやら、見ていたのがバレバレだったらしい。



「えっと…。」



口ごもる私に、斗真さんは優しく笑って言った。



「あの日も…そうだったな。」

「え?」

「いや、こっちの話。」

「…?」



あの日…?
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