ブラックコーヒー
「困ってる人を助けたい!」



そう答えた私の頭を軽く撫でて、斗真は優しく微笑んだ。



「じゃあ、俺を助けて?」

「え…?」



斗真、何か悩んでることでもあるのかな?



「美由里が可愛すぎて困ってる。」

「なっ…!」

「パクっといきたいなー。」

「まだ夕方だよ!? 斗真だって仕事帰りで疲れてるでしょ?」

「美由里を食べるための元気は残ってるよ。」



そう言って私の左手に自分の右手を重ねて、私の左手の薬指をなぞる。

そこには先日斗真にもらったばかりの婚約指輪が光っている。



「婚約者なんだから、いいんじゃん?」
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