ブラックコーヒー
「この声って…。」

「声で判断しなくても、こんなことすんのアイツしかいないだろ。」



そう溜め息を吐いて、玄関の方へと向かっていった。


なんだか、残念。

私たちが関係を持ち始めた頃は、その行為が生み出す思いすらもよく分かっていなくて。



「美由里ちゃあああーんっ!!」



むしろ気持ち悪いとすら思っていた。
キスでさえ。

ドタドタと廊下を走ってくる声の主をリビングで待ちながらふと半年前を思い出していた。



「一樹さん、うるさい。」

「ねえ、斗真すげえ不機嫌なんだけど!」
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