ブラックコーヒー
「どうしたのじゃありませんっ!」



そう怒りながらこちらへ歩いてくると、繋がれていない方の俺の手を握って歩き出した。



「ちょっ、渡部ちゃん!?」



繋がれていたはずの手はいつの間にか離れていて、新人の女の子を見れば、その子はポカンとしていた。

渡部ちゃんにされるがまま引っ張られていくと、渡部ちゃんは会社の側の公園で止まった。



「渡部ちゃん…?」



恐る恐る声をかけると、渡部ちゃんは握っていた俺の手を離してその場にしゃがみこんだ。



「具合でも悪いの?」



そっと背中を擦る。
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