ブラックコーヒー
虚しいね。
悲しいね。


なんでそう思うんだろう。

確かに斗真さんは憧れの人だった。
だけど…それ以上ではないはず。



「美由里ー! ご飯!」



お母さんの声で我に返った。

ダイニングに近付くにつれて、怒鳴り声が聞こえてきた。


また、じいちゃんが怒ってる。

孫の前なんだから…少しは遠慮しなさいよ。


高校入学と同時に核家族から一世帯になった私の家。


元々核家族として暮らしていた私たち家族と祖父母夫婦。

その生活が交わるのは思ったよりも困難で、家の中は大荒れだった。



出張ばかりで家にあまりいない父。
中学生みたいな母。
反抗期の妹。
< 45 / 382 >

この作品をシェア

pagetop