ブラックコーヒー
「斗真さんとはどーなってんのー?」



杏には定期を拾ってもらって、アドレスを教えてもらったところまでは話した。



「んー…お友達…みたいな感じ?」

「へぇー! 見てただけの頃からしたら進歩したじゃない。」

「えへへ、だよね。」



私はそう返事をしながら冷えてきた指先をカーディガンにもぐした。


11月。

季節は秋から冬へと移り変わろうとしていた。



「寒いねー。」

「あたしマフラーデビューしたもん。」




寒空の下、
笑う私たちの関係が動き始めた。


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