ブラックコーヒー
「少しびっくりしましたけど。」



そう返しながら頼んだパスタを食べた。



「いやー、そう言われちゃうと年感じるなぁ。」

「まだまだ若いですよー。」



その日の斗真さんはいつもの余裕が感じられなくて、なんだか焦っていた。



「…なんかダメだったんだよね、あの日は。」

「へ?」

「んー、ちょっとトラウマになってることがあってね。思い出しちゃってさ。」



それって間違いなく女関係だよね…。


私は知ってる。
行為の最中、彼が名前を呼ぶことを。

『早織…。』


彼女…かな。
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